育友会総会人権講演『貧困の中にある輝く命』 2022/12/08
「貧困の中にある輝く命」
令和4年11月2日(水)、本校体育館にて、秋期育友会総会・人権講演会を開催しました。
今年度は講師にケニア・マゴソスクール代表の早川千晶さんをお招きし、
「貧困の中に輝く命」と題して講演をしていただきました。
この日は生徒会が司会進行を務めました。
ケニアの首都・ナイロビから車で10分程進んだところに、
キベラスラムはあります。
「世界でどんなことが起こっているのか」
「どんな人が暮らしているのか」
自分の目で見てみたいと思った早川さんは、
大学に入ってすぐの頃、船で日本を出て、歩いて世界を旅されました。
旅の途中、過酷な環境の中でも前を向き、
一生懸命に生きている人たちと触れ合う中で、
世の中に「人の線引き」「いじめ」「差別」など、
目に見えないたくさんの壁があることに気付かれました。
同じ人間なのに、肌の色が違うだけで差別される状況がある。
「ならば、こちら側の人間でありたい」
「仲間でいたい」「壁を壊したい」という思いが強くなり、
現地の支援を始められたそうです。
ある時、キベラスラムに学校を作りたいという現地の友人とともに、
マゴソスクールを設立されました。
スラムの子供たちにとって学校とは、
生きるチャンスとなります。
真っ暗な生活の中に「学びの光」を与えることで、
広い世界にアクセスすることができます。
今では、マゴソスクールの卒業生たちが集まり、
運営に協力してくれるようになりました。
「子どもたちにとって学校で勉強することは、
生きていく力をくれる。
そこには希望の光があるのです。」
そう語る早川さんはとても輝いて見えました。
また、スライドに映し出された早川さんを囲む子どもたちは、
話にある劣悪な環境下での生活にも関わらず、
皆とても素敵な笑顔で写っていました。
最後に生徒・保護者の皆さんに対し、
皆さんもこの世界を良くしていくための働きが必ずできます。
友人・家族を大切に、
誰もが尊厳をもって生きられる世の中にしていきましょう。
と、一人ひとりが世界で今起こっていることについて
考えることの大切さを話して下さいました。
講演会の終わりに、生徒会よりお礼を述べ、
記念の色紙を贈呈させていただきました。
○座談会の様子
講演後は兵庫県ユニセフ協会の福井事務局長様と共に、
生徒会との座談会に参加していただきました。
講演では聞けなかった貴重なお話をお聞かせいただきましたので、
ここで簡単にご紹介させていただきます。
Q:活動を通して、「やってよかったな」とやりがいを感じる時は?
A:毎日、「これができている」「させてもらえている」ということを
ありがたいなって思っています。
子どもたちが大きくなって、後輩に指導したり、
夢を語ったりして、
目標を追いかけている姿を見るとやりがいを感じます。
Q:ボランティア活動を快く受け入れてもらえない事はありますか?
A:子どもたちや体の不自由な方は「保護されるべき存在」だと思っています。
ですから助けたいと思ってこの活動を始めましたが、
私は「助けに来たよ!」と行っているわけではありません。
対等な人間として、「一緒にやろう!」とやっているで、
特に反発を受けた経験はありません。
Q:活動を続ける中で、危ない目にあったことはありましたか?
A:ケニアの暮らしは毎日が非日常の体験で、
危機的な状況は毎日どこかで起こっています。
アフリカでは、金・ダイヤ・レアメタルを狙って大国が参入し、
特定の国を支援して戦わせ、戦争を行っている現状があります。
このため武器が流れて来て、まん延しているので簡単に手に入るんです。
日本人は家の門から出てはいけないというルールまであります。
普通の生活の中で突然、事件が起こります。
特に、アメリカ大使館が爆破された時はショックでした。
Q:心が折れそうになったことは?
A:私には情熱溢れる仲間がいます。
一人で全ての事は出来ませんが、
皆それぞれに持ち味があります。
チームワークは大切です。
「子どもたちに夢を与える」という同じ目的がある。
これを思い出すと、心がガクッときても背筋が伸びるんです。
Q:高校時代はどんな子だったんですか?
A:親に反抗して、どうにもならない子だったと思います。 笑
私たちの高校時代は、子どもたちが荒れていた時代。
そんな子と仲良くしていました。
周囲から、「そんな子と遊んでいたら勉強ができなくなる」
と言われるのが悔しくて、一生懸命勉強しました。
成績は学校で一番でしたが、
当時、大人は皆嘘つきだと思っていました。
社会に対する怒りや、差別社会が許せなかったんです。
高校生活では薙刀(なぎなた)部に入ってインターハイに出たり、
音楽もやりました。
そんな中で、「不利な人たちの味方でいたい」
という思いが強くなりました。
○おわりに
「無意識の差別や、優越感はあるものです。
それは、出会ったことがないから生まれるもの。
心を寄せ合って、語り合って、
相手を知ることが大切です。
世界を知るほど、日本をどうしたいかが見えてきます。」
短い時間ではありましたが、
これからSDGsの平和学習の一環として
街頭募金活動に協力する生徒会にとって、
勇気が湧いてくる言葉をたくさんいただきました。
この度の人権学習講話会実施に際し、
兵庫県ユニセフ協会様をはじめ、
ご協力いただきました全ての皆様に対し、
心より感謝申し上げます。